これ以上奪われないための遺言書。

遺言書を作成されるそこそこの割合の方は、自分にもしものことがあったら、
大事な家族に財産をちゃんと残してあげたい思いで行動をするのかもしれません。

でも、そんな家族がいなかったら(そんな家庭で育っていなかったら)どうでしょうか。
ご自身に危害を加えてきた、虐待や誹謗中傷をされた、その加害者を擁護するような言動をされた…
健全な心身や尊厳を奪うような人には極力財産を渡したくないと思いませんか。

このような思いで遺言書を作成する場合、
「法定相続人」「法定相続分」「遺留分」「推定相続人の廃除」について留意すべきと考えます。

法定相続人

法定相続人とは、民法で定められた、遺産を受け継ぐ権利を持つ人のことです。
法定相続人には順位付けがされており、高い順位の人が存在しない場合に、次の順位の人が相続権を得ます。

配偶者:常に法定相続人となります。
第1順位:直系卑属(子ども、孫など)
第2順位:直系尊属(父母、祖父母など)
第3順位:兄弟姉妹

⇒ 法定相続人"以外"の人へ財産を残したい場合、遺言書の作成が必要です。

法定相続分

法定相続分とは、遺言によって指定がされなかったときの遺産相続の割合のことです。
相続人の構成によって割合が異なります。
同順位の相続人が複数人の場合、法定相続分をその人数で均等に分けます。


(例)相続財産の総額が3,000万円の場合・・・

⇒ 遺言がないと、原則この割合によって遺産が相続されます。

遺留分

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた、最低限保障される遺産取得分のことです。
相続人の構成によって割合が異なります。
直系卑属または直系尊属が複数人の場合、遺留分をその人数で均等に分けます。


(例)相続財産の総額が3,000万円の場合・・・

⇒ 遺言で相続内容を指定しても、遺留分より低い金額であるとき、「遺留分侵害額の請求」をされるおそれがあります。

推定相続人の廃除

推定相続人の廃除とは、遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となる人)が、被相続人に対して、虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる制度のことです。
この請求が認められると、推定相続人の相続権は剥奪され、遺留分侵害額の請求ができなくなります。

推定相続人の廃除の請求は、遺言によってすることもできますが、遺言執行者を指定する必要があります。
被相続人が、遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なくその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければいけません。
なお、この請求は当然に認められるわけではなく、その確率は約2割といわれています。
相続権を奪うという非常に強い効力を生じさせるため、家庭裁判所での慎重な判断がなされています。



遺言書を作成しなければ本当に大事な人へ財産を残せない・不相当な内容でしか残してあげられない可能性があります。
自分の尊厳・大事な人へ残すべき財産を奪われないための遺言書作成をおすすめいたします。

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